触れられない領域を推しはかる

例えば、上司からお咎めを受けている、
例えば、部下からの相談を受けている、
そんな時は相手の話に集中し、しっかりと意識を傾けるのが『当たり前』であり、それができないのならば『非常識』だとされてしまいかねません。

では、真剣な表情で相手の話をしっかり聴いている態度であれば、その人は相手の話に集中し意識をしっかりと傾けている、とみなされるのでしょうか。「ちゃんと聴いているが、同時に別のことも考えている」なんて経験は、実は誰にでもあることで、・・・いえいえ、「人の話を聴いているようで、実は聴いていない」というのが今日のテーマではありません。話し手(発信する側)がそれで気分良くいてくれれば、それで構わないのですが、今回は、『聴き手(受け取る側)の心の状態』について考えてみようと思います。

人の感情は、ふとした時にあらぬ方向に行ってしまいがちで、それは予測不可能です。

こんな場面を思い浮かべてみてください。あなたはある企業の一社員で、『社内で起きたトラブル』をテーマにした会議に参加しています。そこでは皆でトラブルの原因を分析し、今後の対策を話し合っているのですが、あなたには、そのトラブルに対して消化しきれていない『わだかまり』があります。皆と同じように改めて思い出し考えているのですが、徐々にそこに至るまでの背景や誰かの言動、そして忘れていた感情が湧き上がってきました。そうなったことで、皆と同じテーブルについていながら、「反省点をどうしていくか」というテーマから離れ、『そのトラブルが起きた時の自分』へと思いを馳せていくのです。そこはあなただけの世界で、誰からも干渉されない、誰も触れることができない領域です。そしてそこは、無意識のうちにあなたのこれまでの生い立ちや環境、経験などが大いに影響し、自分の現在地をきちんと把握していないと、自身の思考や感情を客観視しづらくなるところです。

会議に限らず、どんな場面でも、ちゃんとその場に参加し聴いているように見えて、実は心がワープしている人は、意外と多いのかもしれません。自分で折り合いをつけて戻ってきてくれればいいのですが、その『拘りたい世界』や『過去のわだかまり』に心が置いてきぼりになってしまう人もいるかもしれず、だとしたら、誰かがそれにいち早くそれに気づいてあげることは、とても大切です。

気をつけたいのは、せっかく『心ここに在らず』という状態に気づけたのに、「集中していない!」「やる気がない!」と叱責するのは論外だということです。また、その状態に気づけず「いい会議だった」「社員が一致団結できた」と満足しているとしたら、それはとんだ独りよがりかもしれません。

だからこそ、社員一人一人の心の状態を推しはかるために、日頃から1on1をして欲しいのです。相手の状態を決めつけるのでなく推しはかるために、コーチングスキルを習得して欲しいのです。本人ですら無意識かもしれない感情なのですから、正確に把握することはありません。気づき、見守り、意識を向けてあげる。それが『寄り添う』ということであり、会社に対する社員の心理的安全性が高まる秘訣です。

「皆が同じ方向を見ていたはずなのに」
「どんな情報も、社内で共有できていたはずなのに」
最近どうもうまくいかない、と悩んでいる経営者の方、今一度、そんな視点で社員一人一人の心の状態について意識してみてはいかがでしょうか。

★★★

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